ベトナム東部海域(南シナ海)問題は、9月9日から12日にかけてオンライン形式で行われた第53回ASEAN外相会議の主要な議題となりました。この海域での最近の緊張は地域内外の国の関心を集めたからです。
新型コロナによるパンデミックや大国間の競争の激化などが世界の経済と社会に大きな影響を与えている中で、ASEAN東南アジア諸国連合の第53回外相会議は、東南アジア地域の平和・安定・安全保障の確保、法の支配、中立的な立場の堅持を目指す決意を明らかにしました。
会議で発表しているベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相 |
ASEAN議長国の明確な立場
今回の会議で、ASEAN議長国としてベトナムは、ベトナム東部海域で起きた深刻な事件と動きに深い懸念を示し、ASEAN諸国に対し、団結を強化し、1982年国連海洋法条約をはじめとする国際法の遵守という原則をはじめとする基本的原則を堅持するよう訴えました。また、ベトナムはこの海域での軍事拠点化は、国際法に背き、関係各国の合法的な利益を損害し、地域の平和・安定・安全保障を脅かしていると批判しました。
ベトナム東部海域問題について、ベトナムを含むASEANは、関係各国は自制して信頼醸成を促し、1982年国連海洋法条約をはじめとする国際法に従って紛争を平和的に解決する必要があるとの終始一貫した立場を堅持しています。ASEANは、DOC=海上行動宣言の完全履行、及び、効果的なCOC=海上行動規範の早期作成を目指しており、COCに関する中国との交渉の早期再開に取り組んでいます。
こうしたベトナムは多くの国から支持と好評を得ています。また、ASEANの相手国は、ベトナム東部海域の平和・安定・安全保障・航行の自由を目指すASEANの取り組みを評価するだけでなく、インド・太平洋地域におけるASEANのより積極的かつ中核的な役割を支持しています。
会議で発表しているポンペオ米国務長官 |
東南アジアの安定は共通の目標
今回の第53回ASEAN外相会議で、ASEAN諸国と相手国は、対話と協力を強化し、1982年国連海洋法条約をはじめとする国際法に従ってベトナム東部海域問題を平和的に解決することに一致しました。これは、今回の会議の成功の一つで、ASEAN議長国として会議を主宰したベトナムの重要な役割を示しています。また、すべての参加国が「東南アジア地域の安定は共通の目標である」ということに一致したことは会議のもう一つの成功であると言えます。ASEANのすべての相手国は、この目標を実現させるために、できるだけASEANを支援してゆく姿勢を示しています。